「アナタガネガッタカラ」
そう、わたしが願ったから
だからここに生まれてきた
小さい頃何度も思ったわ、
なんでわたしここにまた来たんだろうって
なんでこんなところに来ちゃったんだろうって
ここに来る前は、やたらと元気だった
自信とやる気に満ちていて
こんなちっぽけなわたしじゃあなかったの
くる前のわたしはやる気まんまんで、
”行きます!わたしに、やらせてください”(なにを?)
そんな調子で
張り切って胸を張って
ここにやってきたの
そうしたらどうよ?
この世界は思ってたのと全然違って
わたしはまるでかわいくないし
ちっぽけでやせっぽちの貧相な女の子
鏡をいくら覗いても
美しさのかけらも見当たらなくて
でもどこかに面影があるのかもと
(なんの?)
探して何時間でも
お母さんの鏡台の前に座って自分を眺めてた
(そういえばあの時ふと美しい女神のような女性がふっと笑ってこちらを見たけれど
あれはわたしの本来の姿だったのかしらね?)
それはそうと、わたしは本当に後悔していた
なんでこんなとこ来ちゃったんだろうと、
安請け合いした自分をバカだったと責めていた
そう、いつも後悔してたし
戻れるなら戻りたいと願った
でももう決めちゃったから
ここに来ちゃったから進むしかなくて
まだそのときわたしはほんの5つやそこらで
これから膨大な時間をここでやり過ごさなくちゃいけないことに
暗澹たる気持ちで毎日を過ごしていた
もちろんいつもそうじゃないけれど
ふとした瞬間にそんな気持ちが頭をもたげて
わたしはその度に不安になって
ひどく情緒が不安定になったものだった
今わたしはようやく40歳を超えて
よくここまで生きてきたものだなぁと
この道のりの長さを思うと
泣けてきて涙が溢れる
本当によくがんばったよね
本当にありがとう
こんな繊細な心を抱えて
体も丈夫ではなく体力もないのに
いつも必死で生きてきてくれて
本当にありがとう
わたしよ、わたしを守ってくれてありがとう
いつでもぐしゃっと潰れてもおかしくないようなふにゃふにゃの心を
弱々の体でしっかり抱きとめてくれててありがとう
あなたはやわらかにしなる細い木のよう
嵐がきても雨がふっても雪が肩にのしかかってても
しなやかにその枝をゆらしてなんとか折れずにここまで生きてきてくれたんだね
わたしは変わっていない
小さな頃のふにゃふにゃの心のまま
傷だらけで傷跡もいっぱいつけて
でも破れずにまだやわらかな心を維持しているんだ
それは奇跡みたいなものだ
この世でたったひとりのわたし
わたしはたぶんこれからの人生は
楽しむだけでいいと思うんだ
それは自分へのご褒美なんだ
ずーっとがんばってきたことへのご褒美なのよ
わたしが貯めてきたたくさんの光を
絵や文字を通して世の中に還元していこう
わたしの光に癒される人が
きっとたくさんいるはず
わたしはわたしのことをこれからも大切に守っていけばいいよ
ずーっとそれをしてきたんだもん、
これからもするよ
死ぬまでするよ
守るよ
わたしのこと守るよ
ありがとう、
ここにこれてやっぱりよかったよ
ミヒャエル・エンデの「モモ」の226ページ
アナタガネガッタカラ、で思い出したわたしの記憶の覚え書きです。
「モモ」はあちらの世界と繋がってる本だと思います。
長いひとりごと、読んでいただいてありがとうございました。
今日もあなたが幸せでありますように。
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