2021年末に
2021年12月31日
眠っている間に、この家は雪にすっかり包まれていた。
雪の良いところは、音がすっかり消えてしまうところ。
街のざわめきも、なんにも聞こえない。
ときおり、雪かきをする人のしゃべるがコツコツと当たる音。
わたしはひとりの部屋で、ピアノ曲を流しながらこれを書いている。
今年を振り返り、そして明日から始まる新しい一年に想いを馳せながら。
たしか去年の大晦日は、タリーズにいた。
注文したカフェラテに、大晦日、とラテアートがされていたのを覚えているからだ。
あれからもう一年経つとは…。
昨日、わたしはそのタリーズに併設されている本屋にいた。
買う当てもなくぶらぶらする。
わたしの足は自然に、自己啓発本や占い、精神世界の書架へ向かう。
本棚にはたくさんの新商品が並べられており、どれも魅力的なタイトルで堂々とこちらを見下ろしている。
この本棚の全ての本を読めば、万能な人間になれるような気がしてくる。
ーこれさえ読めば人生最強。
ーこの本を読んで人生が変わりました。
そんな魅力的な謳い文句にまんまと乗せられ、何冊もの本を読んできた。
そしてわたしはいまも、いつでも、そんな出会いを求めている。
そして、はた、と氣付く。
わたしは去年も一昨年もこんな風に書店を彷徨っていたことを。
それどころか、もう10年くらいこの手の本を読み漁っている。
それに気付いて、ちょっと、ぞっとした。
わたしは、常にこう思っているのかもしれない。
”今の自分じゃだめ、もっともっとできるはず。”と。
わたしの興味は、常に”ここではない、どこかへ”だし、
ひとつ達成されたら、次に行きたくなる。
満足するのはいつも一瞬で、今度はもっとこうしたい、こんな絵が描きたい、
こんなところに住んでみたい、こんなところに行きたい。
刺激を外側に求めているのだろうか?対峙すべきは、自分の内面であるのに。
そんな思考がわたしを嗜める。
そう、きっとわたしに必要なのは、鎧を次々に足していくことではなくてー本をたくさん読んでインプットしてゆくことなのではなくてー、
むしろその逆なのかもしれない。
どんどん素の自分に近づいてゆくこと、鎧を脱いでいくこと。
今まで蓄積されてきたものを、表に出してゆくこと。
多分、それが圧倒的に足りてない。
だから、もやもやするのだな…。
来年はもっと自分を出してゆこう。
再来年も、その次も、もしかしてずっとそれが目標になるかもしれないけれど。
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